診療案内心理検査
【目的・対象となる方】
心理検査は「自己理解を深めること」「治療・支援の羅針盤とすること」を目的に行います。主に3種類の検査を用いて行います。
- 人格検査(ロールシャッハテスト、エゴグラム、バウムテスト、Y-G性格検査等)
性格、考え方、興味関心、価値観などの視点から人格的特徴を推定する検査です。 - 知能検査(WAIS、WISC、田中ビネー検査等)
知能水準(IQ)、得意不得意のバランス、精神年齢などの視点から能力的特徴を推定する検査です。 - 認知機能検査・その他の検査(AQ、CAARS、長谷川式簡易知能検査等)
精神症状の有無や程度に関する質問紙、高次脳機能障害や高齢者の認知機能を推定する検査です。
心理検査は主治医が必要と判断した場合に実施しております。当院通院中の方で心理検査をご希望の際は診察でご相談いただくようお願いします。
【心理検査について】
精神科において、なぜ心理検査が主治医の判断にもとづくのか考えてみたいと思います。
最初に結論を出しますと「心理検査は情報量が豊かなものほど心身への負荷が大きいため」と考えております。
たとえば人格検査の場合、個人差が著しいのですが、時間がかかる検査は「60分~120分前後」はかかります。「自分のどこを見ているのだろう」というのがわかりにくい検査も非常に多く、どうみられるかわからない中で検査を受けることはそれなりの負荷が生じます。知能検査の場合、実施時間の平均は「90分~120分」となっています。その間、いくつかのジャンルの問題を解くことで知的能力や得意不得意を推定するのです。
実際に受けるとわかるのですが、万全なコンディションでも疲れる内容です。その分、豊かな情報が得られるのです。逆の場合も考えてみましょう。短時間で行える質問紙は、負荷が小さいのですが得られる情報は多くありません。たとえばうつ症状に関する質問紙は「10分ほど」で終えることができますが、ターゲットにしているうつ症状が「どの程度生じてそうか」を推定するにとどまっています。このように、負荷や時間によって得られる情報の質や量が異なると言えます。
もちろん、情報量だけで心理検査の価値が決まるわけではありません。今もたくさんの心理検査が存在するのは「それぞれ目的が異なるため」です。どの心理検査も使いどころがあるため現在も多種多様な検査が使われているのです。
そして、これら心理検査は単独で実施するだけでなく、複数組み合わせて実施することも多いのです。「性格の特徴」がわかれば十分という場合もありますが、「性格の特徴」と「知的能力の水準と特徴」が分かった方が良い場合もあります。心理検査単体でわかる範囲は限られますが、複数の心理検査を組み合わせると、より全体像を捉えやすくなります。この組み合わせは医師が考える場合もありますし、心理師が考えて医師に提案する場合もあります。
このように心理検査は情報量と負荷が比例関係にあるとさえ言えるかもしれません。こうした負荷に耐えられるかどうか、または負荷をかけて実施する意義があるかどうか、複数の心理検査を受けられる健康状態にあるかどうか、医師の判断が重要になります。
【料金について】
心理検査は、診察とセットの場合は保険診療で行っております。