精神科疾患について適応障害
適応障害
地域・学校・仕事・集団では、独自のルール・価値観・人間模様を有する「そこならでは」の環境があります。学校と一言で言っても、東京と宮城の学校はどこかが違うでしょうし、宮城県内でも場所によってどこかが違うと考えられます。これら独自の環境に自分を合わせることを「適応」と言います。そして、適応がうまくいかず、学校や仕事で問題やストレスが山積すると様々な症状を呈します。これを「適応障害」と言います。
適応障害の背景には何が考えられるでしょうか。いくつか考えられますが、3つにしぼると①「環境が問題である」、②「自分が問題である」、③「環境と自分の組合せが問題である」の3つです。
①は現在所属している環境が独特すぎて、誰にとっても適応が難しい場合です。ブラック企業や偏った価値観をもつ団体などが一例です。どんなに健康な人でも、適応しようと努力すればするほど消耗していく場合があります。
②は自分自身を環境に合わせることが難しい場合です。たとえば「地方出身者の集まり」に都会出身の自分が入ると、ちょっとした価値観の違いから馴染めない場合があるでしょう。また能力的に向いていない場合もありえます。数字に自信がないのに金融関係に勤めると苦労が多いことが想像できます。
③はあまり多くないのですが、環境、自分がどちらも問題がないのに、組合せによって初めて問題が生じる場合です。職場そのものは問題がなく、自分自身も健康なのですが、たとえば遠方への出張が多いため数々の問題が噴出してしまう場合が一例です。
治療方針は状態像に合わせて行います。発達障害を基盤とするか否かで方針が異なってきますので「心理検査」「薬物療法」「カウンセリング」「必要時ケースワーク」が基本となります。状態像を心理検査で調べ、薬物療法で症状を緩和します。その後、環境との相性についてカウンセリング等で検討します。そして必要であれば休職や転職、就労支援などの種々のケースワークを導入していき、より安定して過ごせる状態を目標に進みます。