各種公的サービスについて
(1)医療費の助成等について
ア、自立支援医療(精神通院医療)
自立支援医療(精神通院医療)は、精神疾患(てんかんを含む)で通院による精神医療を続ける必要がある病状の方に対して、通院のための医療費の自己負担を軽減する制度です。原則1割負担となります。また、世帯所得によって月ごとの負担上限額が決まります。
医師が継続した治療が必要と判断し、自治体が認めた場合に受けることができます。
主な対象疾患は、うつ病、躁うつ病、統合失調症、妄想性障害、不安障害、パニック障害、強迫性障害、発達障害、知的障害、認知症、てんかんなどがあります。
対象となる医療費は、外来診察、投薬、デイケア、訪問看護などです。
自費診療(当院ではカウンセリング)や、文書料などは対象外です。
イ、障害年金
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限される方が受け取ることができる公的な年金制度です。年金は2段階構成になっていて、おおよその受給額は以下の通りです。
障害基礎年金
国民年金に加入していた場合、初めて医師の診療を受けたときに請求できる年金です。障害等級表(1級・2級)による障害の状態にある方が対象です。
- 1級
- 月約8万円
- 2級
- 月約6万5千円
障害厚生年金
障害厚生年金は、病気やけがによって生活や仕事に制限がある方が受け取ることができる公的な年金制度です。この制度は、厚生年金に加入していた場合に適用されます。
- 1級
- 基礎年金+収入や加算に応じた金額
- 2級
- 基礎年金+収入や加算に応じた金額
- 3級
- 最低保証額 月約4万8千円
申請要件として公的年金の加入期間や保険料を納付しているかなどの条件がありますので、市町村窓口や年金事務所での確認も必要になります。
ウ、精神障害者保健福祉手帳
何らかの精神の障害によって、長期にわたり日常生活または社会生活に制約のある方を対象。取得することで、自治体ごとに公共料金などの割引や税金の免除・減免、障害者雇用などの就労に関する支援やサービスが受けられます。
- 対象
- 何らかの精神の障害によって、長期にわたり日常生活や社会生活への制約がある方を対象としています。例として、統合失調症、うつ病、てんかん、薬物依存症、高次脳機能障害、発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害など)などが含まれます。手帳を申請するには、その精神障害での初診日から6ヶ月以上が経っていることが必要です。
- 主な割引や助成
- JR、バス、航空運賃などの公共機関の割引/公共施設の割引/携帯電話基本料金の割引/公営住宅の優先入居/NHK受信料の免除 など
エ、傷病手当金
傷病手当金は、健康保険の被保険者が療養中に仕事を休むことができず、十分な報酬を得ることができない場合に、生活保障の一環として受け取ることができる制度です。
- 対象
- 病気やケガによって、長期間にわたり日常生活や社会生活への制約がある方々を対象としています。連続して休んだ3日目以降、報酬が不十分な場合に支給されます。
- 支給条件
- 4日目以降、休んだ日に対して支給されます。休んだ期間について事業主から傷病手当金の額より多い報酬を受けた場合は支給されません。
- 支給金額の計算方法
- 1日当たりの金額は、過去12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額を用いて計算されます。ただし、支給開始日の以前の期間が12ヵ月に満たない場合は、別の低い額を使用します。
(2)復職、仕事について
ア、就労支援
就労支援は、障害や病気による課題を抱える方々が、社会に出て仕事をし、収入を得ることができるように支援する制度です。就労移行支援、就労継続支援があります。
- 就労移行支援
- 一般企業への就職を目指す障害のある方を対象に、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートをおこないます。
- 就労継続支援
- 一般企業への就職が困難な方へ働く機会を提供するサービスです。就労継続支援には、対象者や支援内容により就労継続支援A型(雇用型)と就労継続支援B型(非雇用型)の2つの枠組みがあります。
イ、障害者雇用
障害のある人が一人ひとりの特性に合わせた働き方ができるように、企業や自治体などが別枠を設けて障害のある人を雇用することです。
原則として障害者手帳を持っている方が対象です。
(3)障害福祉サービスについて
障害のある人が自立した日常・社会生活を営むために必要な支援を行うものです。日常生活で食事や入浴の介護をする介護給付と、生活能力の維持向上や就労の知識と能力の向上を訓練する訓練等給付があります。
(4)介護保険制度
介護が必要な人に対して、入浴、排泄、食事の介助や療養上の管理を行い、その人の尊厳を保ちつつ、日常生活を送れるようにする制度です。介護認定の結果に応じて、利用可能なサービスの範囲が決められます。自宅で利用する訪問サービス、施設に通う通所サービス、施設入所、福祉用具貸与などがあります。
(5)その他
ア、精神科訪問看護
精神疾患のある方や心のケアが必要な方に対して、看護師や作業療法士、精神保健福祉士などの専門職が自宅へ訪問し、病状の管理から正しい日常生活を送るためのサポートを行うものです。
イ、成年後見制度
知的障害や精神障害によって判断能力が不十分な人の財産や権利を守るための制度です。家庭裁判所によって選任された成年後見人等が本人の意思を尊重し、本人に代わって財産の管理をしたり、さまざまな契約や手続きをしてくれます。認知症などにより判断能力が低下した人の利用者が多いです。
ウ、生活保護
「病気や障害があり仕事に就けない、長時間働くことが難しく収入が少ない、失業して再就職先がなかなか決まらず生活費が足りない…」などの事情で生活に困窮している人のための制度です。日本国憲法第25条に基づき、健康で文化的な最低限度の生活を保障するものです。
その他お困りごとに応じた制度やサービスをご紹介いたします。